世界の陸地面積に占める森林の割合は約3割にのぼるが、各国とも森林破壊や山火事、洪水に悩んでいる。そうした森林の保護のための有効な手段としてIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用しようという機運が高まってきた。日経BPクリーンテック研究所が2015年6月に発行した「IoTプロジェクト総覧 社会インフラ編」によると、欧米で森林にセンサーを設置して地表の照度や温度のデータを収集して森林の管理に役立てたり、山火事や洪水を早期に検知して防災に役立てようとするプロジェクトがスタートしている。

 森林保護にIoTを役立てるプロジェクトを、最も熱心に進めているのが米国である。米国は国土の3割を占める広大な森林地帯の気候変動や大気汚染、生態系の変化、乱開発などの問題に直面しており、森林保護施策を進めることが喫緊の課題となっているからだ。

 農務省傘下の森林庁(United States Forest Service)は2015年3月から、これまでの紙ベースの方式を改め、IoTを使って森林におけるすべてのデータを無線センサーネットワークで収集し、電子化する「スマートフォレスト(Smart Forests)」プロジェクトをスタートさせた。