日本では、2016年4月1日に電力小売りが全面自由化され、既存の電力会社やガス会社、石油、情報系企業を巻き込んで激しい小売ビジネス競争が繰り広げられる。そこでは、需要家に単に電力を供給するだけでなく、どのような付加価値を付けてサービスを提供するかというビジネスモデルが重要になる。

 欧米やオーストラリア、ニュージーランドでは、すでに1990年代から家庭など「低圧部門」を含めた自由化がスタートしている。そこでは多くの小売事業者がビジネスモデルの試行錯誤を重ね、シェア競争を繰り広げてきた(表1)。

表1 世界の電力自由化国の電力市場改革と小売りビジネスの概要
(出所:『世界電力小売りビジネス総覧』より)
表1 世界の電力自由化国の電力市場改革と小売りビジネスの概要
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 日経BPクリーンテック研究所が世界の主要電力小売事業者40社の販売戦略を調査、分析した『世界電力小売りビジネス総覧』によると、世界の小売り事業者のビジネスモデルは10種類に分類される(表2)。

表2 電力小売りのビジネスモデル一覧
(出所:『世界電力小売りビジネス総覧』より)
表2 電力小売りのビジネスモデル一覧
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 これらは互いに関連しており、包含関係にあるが、いずれのビジネスモデルについても小売事業者が顧客獲得のための戦略を考えるうえで重要なテーマといえる。