エネルギー安全保障やエネルギーの強靭性(リジリエンシー)、エネルギー貧困、持続可能性などについて、今後もアジア太平洋域内で経済協力を継続していく――。2015年10月12日から2日あまり、フィリピンのセブ島で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)のエネルギー大臣会合(EMM12)では域内で直面するエネルギー問題について議論が交わされた。

 同会合はAPEC加盟21カ国のエネルギー担当閣僚や行政官、国際エネルギー機関(IEA)の専門家らが一堂に会し、域内のエネルギーに関する課題や活用、技術や貿易、投資など様々な論点で議論を繰り広げた。例年と同様、会合の最後に全加盟地域が合意した共同声明が採択され、閉幕した(図1)。

図1 APECエネルギー大臣会合(APEC EMM12)に参加した閣僚
図1 APECエネルギー大臣会合(APEC EMM12)に参加した閣僚
(出典: APEC)

 主な議題は、エネルギー強靭性の世界的課題、エネルギー貧困地域におけるクリーンエネルギーの活用促進、最先端の省エネ技術による持続可能性、エネルギーの貿易や投資における民間セクターの参画拡大――の4つだ。各テーマを表現するキーワードには毎年若干の変化がみられるものの、各テーマの大枠自体は1996年にEMMが開始されたときとほぼ同じである。一方で、閣僚がマイクログリッドの活用に言及するなど、新技術の導入やイノベーションにつながる萌芽も見られた。