固定価格買取制度(FIT)による太陽光発電の買取価格の低下をにらみ、「直流給電システム」の製品化に向けた動きが活発化している。シャープが、直流(DC)でも稼働する「DCエアコンハイブリッドシステム」を2015年内に発売するほか、三菱電機は「中低圧直流配電システム実証棟」を建設し、直流給電システムの商品化を加速すると発表した。

 太陽光発電と蓄電池は、いずれも直流で出力する。太陽光の発電電力を売電せず、蓄電池に貯めて自家消費するようになると、直流で動作する電気機器については、現在のように交流(AC)に変換せずに直流のまま利用できる。そうなると、「直交変換」に伴う電力損失を減らせるのだ。

 現在、太陽光発電事業は、10kW未満の家庭用では余剰買取、10kW以上では全量買取が基本となっている。だが、買取価格が低下し、商用電力の単価を下回れば、自家消費の経済性が高まる。実際、FIT先進国のドイツでは、買取価格の低下に伴い、太陽光の電気を蓄電池に貯めて活用する家庭や事業者が増えている。

 ドイツの場合、電気代が相対的に高いこともあり、蓄電池向けの補助金などを活用すると、蓄電池付き太陽光でも商用電力に比べて経済面で有利になる。今後、太陽光パネルと蓄電池の価格が下がっていけば、補助金なしでも、こうした「太陽光+蓄電池」システムが国内外で普及する可能性がある。そうなれば「直流給電」のニーズが高まる。