大きいほうが好まれる砲丸

 ニシ・スポーツによれば、砲丸は鉄の鋳物製であることが多いです(図2)。一時は比重の大きい真鍮を使うこともあったそうです。質量は規定で決まっていますので、比重の大きい金属を使うと砲丸は小さくなります。どちらかといえば、砲丸は大きい方が、手が離れる最後の瞬間まで押しやすく感じるらしく、それを好むアスリートが多いとか。ニシ・スポーツの場合は、3種類の大きさを用意しているそうです。

図2 ニシ・スポーツ製の砲丸
図2 ニシ・スポーツ製の砲丸
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 以前「飛距離を伸ばすゴルフボールのディンプル」の回で、投てき同様に飛距離を競うスポーツで勝敗を左右する要因は、ボールの打ち出し角、初速度と空気抵抗でした。砲丸投げに関しては、砲丸の質量と初速度に対して空気の存在はほとんど無関係であるため、理論的には打ち出し角が45度のとき最大の水平飛距離を得られることになります。

 実際には、アスリートの手を離れてから地面に着くまでの落差がありますから、45度からは少しずれますが、いずれにせよ砲丸の飛距離は、砲丸の初速度と、投げ出す角度および高さによって決まります。速く、最適な角度で投てきを可能にするための体力や正確なフォームは、日々たゆまぬ努力の結果で習得できるわけです。

 砲丸の製作方法などの詳細は、次回のハンマーの項目でご報告します。