スマート工場の将来がテーマとなった「FACTORY 2015 Fall」の会場の様子
スマート工場の将来がテーマとなった「FACTORY 2015 Fall」の会場の様子
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 あけましておめでとうございます。旧年中は、「日経ものづくり」と「日経テクノロジーオンライン」をお引き立ていただき、誠にありがとうございました。今年1年も、編集スタッフ一同、読者の皆様のお役に立てるよう、一生懸命がんばってまいります。

 さて、ドイツの「インダストリー4.0」や米国の「インダストリアル・インターネット」など、Internet of Things(IoT)やビッグデータを活用した新しいものづくりの在り方にますます関心が集まっています。インターネットなどの通信ネットワークを介して工場内外のモノやサービスを高度に連携させることによって、今までにない価値や新たなビジネスモデルの創出を目指す試みが世界中で進みつつあります。

 例えば、次世代の「賢い工場」(スマート工場)は、既存の自動化や省エネルギー化といった生産革新の取り組みにとどまらず、顧客が求めるモノやサービスを的確に捉え、それを迅速に設計・生産し、最適なサービスを提供するための仕組みに進化していきます。

 このために欠かせないのが、工場の生産ラインを司るFAシステム(リアルな世界)とITシステム(バーチャルな世界)を高度に連携させることです。この目標に向かって、2016年は、「リアルな世界」と「バーチャルな世界」の融合が進む1年となるでしょう。ここでリアルの世界とは、実際の生産ラインを構成する機械や治工具、ワーク、人など現実に存在するものを意味します。

 こうしたリアルな世界とITシステムというバーチャルな世界がリアルタイムで連携できるようになれば、さまざまな“ご利益”がもたらされます。例えば、生産ラインのビッグデータをリアルタイムで分析・活用したり、生産ラインの機械が人や別の機械とコミュニケーションして自律的に動いたり、顧客の要望に最適化したカスタマイズ品を大量生産品と同等の効率やコストで製造する「マス・カスタマイゼーション」を実現できたり、といったことが可能になります。このためのカギを握る技術が「デジタル化」です。リアルの世界に存在するモノやコトをデジタル化し、バーチャルな世界で扱えるようにする必要があるからです。