前回、「つながるビジネスモデル」の構築には、「顧客との接点としてのつながり」、「顧客に価値を届けるために連携すべきパートナーとのつながり」、「付加価値そのものの連鎖によるつながり」の3つが必要と述べ、このうち「顧客との接点としてのつながり」について解説した。今回は、残る2つを解説する。

つながる[2]パートナーを「巻き込む」

 リマニの実現には、リマニ部品を顧客へ届けるまでに関わるパートナーとの連携が不可欠だ。Volvo社はこの連携のあり方を従来のものから改め、パートナーを巻き込むことでリマニをうまく動かしている。いくつかの例を紹介したい。

 リマニ部品は、顧客から回収した部品であるコアをベースにしているため、正規販売店が顧客の車両からコアを回収し、生産拠点(コアの再生を担当するVolvo社のリマニセンター)に戻すという流れが必要となる。従って正規販売店は、車両を販売して整備するだけでなく、顧客からコアを回収するという役割も担っている。

 この回収業務が従来とは異なる大切な業務なのである。正しいコアを回収するには部品の状態を目利きする能力が必要だ。もちろん最終的には部品を送ったリマニセンターで状態をみて再生可能かを判断するが、販売店での初期判断に基づき再生不可能な部品を極力送らないことで、大きくて重いエンジンの無駄な送料をかけずに済む。

 また、一口にエンジンといっても排気量や環境規制対応状況などによって複数の種類があることから、なるべくVolvo社全体として必要な種類のコアを優先的に回収することが望まれる。そこで、これまでの顧客管理に加え、顧客の車両のコアのタイプまで踏み込んで管理し、コアを回収する車両やタイミングを決めている。そのため、顧客の車両の定期メンテナンス実施時に、本来は交換の必要性はなくてもコアの在庫調整のために敢えて回収するという判断も行う(回収することは顧客の同意を得ている)。従って、コア回収業務は販売店の重要な経営指標として管理されている*1

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コア回収業務は顧客の車両の対象部品の状態を確認し、コアとして回収できると判断した場合、顧客に説明する義務がある。顧客に説明して同意を得たあとに部品を取り外したところでコア回収業務は終了する。