本稿は、ローランド・ベルガーの経済レポート「視点」No.115を加筆・修正したものです。

 依然としてインダストリー4.0やIoT(Internet of Things)といった単語がもてはやされている。通信技術の進化とともに「つながる」ことの重要性が盛んに議論され、将来、数十億個、いや数百億個のモノがつながってすごいことが起こると騒がれている。確かに安価な通信技術によってさまざまなモノがつながるようになるのは事実だろう。しかし、つながって一体何をするのだろうか。

 巷ではさまざまな成功事例が語られているが、Industry4.0やIoTの本質はつながるための技術ではなく、「つながるビジネスモデル」の構築にこそある。つながるビジネスモデルとは「顧客との接点としてのつながり」、「顧客に価値を届けるために連携すべきパートナーとのつながり」、「付加価値そのものの連鎖によるつながり」の3つである。安価な通信技術はこれらの3つのつながりのサポートするものでしかない。本稿では、数回に分けてこの「つながるビジネスモデル」について、商用車市場における“リマニファクチャリング”を題材に解説したい(図1)。

図1 「つながるビジネスモデル」とは
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図1 「つながるビジネスモデル」とは