物流は、元来至って労働集約的な産業である。物流品質やオペレーション効率は、現場での属人的スキルに依存せざるを得ない。故に参入障壁が低く、中小企業が多数存在する。

モノからコトへのシフトに好適

 Logistics 4.0により省人化が進むということは、この状況が大きく変わることを意味する。今まで人が対応してきたオペレーションを機械やITシステムに置き換えられるようになるからだ。つまり、「物流ノウハウを蓄積した物流会社」でなくとも、物流サービスの提供が可能になる。

 「モノ売りからコト売りへの進化」を成し遂げたいと考えるメーカーにとって、Logistics 4.0によって装置産業化が進む物流ビジネスは、実は極めて魅力的なターゲット領域といえる。なぜなら、前述の通り、もともと労働集約的な事業環境だったために資本集約的なサービスを提供する先行者がほとんど存在しないからだ。加えて、コストパフォーマンスの数値化が容易であるため、「コト売りとしての価値」も訴求しやすい。

 実際、「運ぶ」や「保管・荷役する」といった、物流の基本オペレーションに関わる機械やシステムを製造・販売している一部のメーカーやディベロッパーは、「物流の収益源化(物流サービスの提供による新たな事業機会の獲得)」に向けた戦略を策定・実行しつつある。

「運ぶ」で儲ける

 Logistics 4.0による省人化によって最も大きな変革が期待できる物流プロセスは、トラック輸送である。国内の貨物輸送に占めるトラックの分担率は、tベースで90%超、t・kmベースでも50%を超える。しかも人件費が高い日本では、トラック輸送に要するコストの40%近くをドライバーの人件費が占める。つまり、自動運転の実現は、物流のコスト構造に大きなインパクトをもたらすのである。

 世界最大のトラックメーカーであるドイツDaimler社は、2025年までの実用化を目指して自動運転トラックの開発を進めている。2015年に同社が公開した自動運転トラック「Freightliner Inspiration」は、交通量の多い高速道路を80km/hでの自動走行が可能。既にドイツと米国の公道で試験走行を始めており、その模様はメディアにも公開されている。