前回前々回で解説してきたことのゴールは、あくまでも総和としての創造生産性の向上であり、限られた人的リソースを活かす最高の役割分担の実現である。従って経営者は、「人材こそがアセット」だという感覚からもう一歩踏み込んで、「人と人工知能(AI)と機械でどんな能力ポートフォリオを構成するか」という次元でリソースを語らなくてはならない。

能力獲得を加速する!

 イノベーションのスピードが勝負の今、新たに外部から調達すると決めた能力をいかに早く使える状態に準備できるかも勝負所となる。社内の従業員が既に身に付けている能力と、自社でもしくは外部から新たに獲得した能力を上手く組み合わせて使うことで、組織の機動力を圧倒的に高めていく。それが実現できれば、顧客に新たな製品やサービスを届けるまでの時間をどんどん短縮できるはずだ。

図7 人の加速成長
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図7 人の加速成長
 この人材が力を獲得するスピードは、「和ノベーション」において最も重要な要素の1つだが、最終回の今回は、その点におけるIoT(Internet of Things)、AI、VR(仮想現実感)といった先端技術を活用した「加速成長」についての可能性を考えてみよう。その勘所は、人の視野を広げることと、人にタイミングよく適切な刺激を与えることにある(図7)。