前回は、ワークショップの前提条件と、進め方のポイントの1つである「発散」について解説した。今回は、残る2つのポイント「悶々」と「収束」について解説する。

<悶々>
 発散を一通り終えたら、次は、出てきた意見やアイデアについて議論する「悶々」である。このプロセスは苦痛である上、一見非効率にも感じられる。しかし、メンバーが感じていることや気になっていることを全て吐き出すこのプロセスは、一体感・合意形成を促すために必要な時間である。悶々の時間を取らずに「発散」から一気に「収束」に向かうと消化不良を起こしてしまう上、後になって「聞いていない」「それは誰かが決めたことで私は関係ない」などという言い訳が生まれやすくなる。

“悶々”する時間で意思統一

 このプロセスでは、発散で出た意見・アイデアを書いた紙をメンバーでじっくりと眺め、ああでもない、こうでもないと言い合う。「やはりうちの会社は、現場は強いが全社方針がないためベクトルが定まっておらず、非効率だよね」、「全ての意見を眺めてみると、結局みんながやりたいことは昔からのお客さんにずっとファンでいてもらうための施策だね」といったように、プロセスを共有したメンバー同士が打ち解けて、腹落ちできる瞬間が生まれる。悶々とする時間をしっかりと取ることで、不安要素を払拭する、あるいは不安があったとしても進めるという意思統一を図ることができるのだ。

 また、悶々としていると、そのうち誰もが、「もうそろそろ決めなければ」という気持ちになってくる。そうなったら、しめたものだ。繰り返しになるが、悶々の時間は苦痛であるしワークショップが停滞していると感じてしまいがちである。しかし、そこをぐっと我慢して、後々言い訳が出ないようにこのプロセスで意見を出し切ることが大切なのだ。