まずはtoBやtoEから

 ヘルスケア分野に“Uber化”が浸透する上では、課題もある。この領域におけるオンデマンドサービスは、ユーザー当たりの利用回数がUberや他のオンデマンドサービスに比べて少ないという特徴がある。タクシーやクリーニングなら年に何回も利用しそうだが、急な体調悪化で往診が必要になるようなケースは多くても年に数回だろう。

 ユーザー当たりの利用回数の少なさを補うには、利用1回当たりの利幅を大きくする必要がある。だが消費者はおしなべて、医療や健康維持にはお金を出したがらない。

 それでも、学校や企業の保健室においてシェアリングサービスとして利用される可能性があるなど、B(business)向けやE(education)向けの期待ができるだろう。例えば企業では、自社に医師や看護師を常駐させるのではなく、従業員の体調不良時、必要に応じてオンデマンドサービスで往診を依頼すればコスト削減につなげられる。

 不定期の往診だけではなく、在宅療養者などに向けた継続的な訪問診療としての利用が増えれば、長期的視点で顧客に対する価値を高められるだろう。こうしたケースでは高齢者への浸透が課題となるが、その家族や子供にも有用性をアピールできれば利用機会は増えるだろう。