中国など新興国との競争激化を不安視する声

 昨年の後半、中国について書かれたエッセイがちょっとした話題になりました。

 初めて中国深圳へ取材旅行に出掛けた若手ライターが「今の中国の勢い」に感嘆し、率直にレポートした内容でした。ネット上で大きな共感と同じくらいの反発を呼び、共感する記事や反論する記事もたくさん出ました。今の中国とその成長の勢いは、国内の人々が関心を持たざるを得ない存在になっています。

 日経ものづくりでは今回の品質問題の特集に向けてWebアンケート調査「『データ偽装/不正検査の実態』に関する調査」を実施し、1496件もの回答をいただきました。この回答の中にも中国など新興国との競争激化を不安視する声や日本製造業の地盤沈下を懸念する声がありました。

 「雨降って地固まる」「災いを転じて福となす」―ー。悪い事象が躍進の糧になると教える格言や故事成語はたくさんあります。大きな不祥事や問題の発覚はそれ自体は大きなダメージになりますが、構造的な問題点を発見し、カイゼンにつなげるチャンスでもあるからです。

 その意味で「品質問題」は、国内製造業の反転攻勢に向けた大きなきっかけになり得るはずです。日経ものづくりはそれを少しでも助力したいと思っています。

 日経ものづくりは今年も日本の製造業で働く技術者たちの糧になるような記事を提供し続けていきます。ぜひよろしくご支援ください。