ダイハツは、2016年11月に発売した新型軽自動車「タント」で、ステレオカメラを採用しました。2017年5月に発売した「ミライース」などに採用を拡大しています。ステレオカメラはデンソー製。あるスズキの技術者は、ダイハツがステレオカメラを採用し続けることを気にしています。スズキはコスト重視のためレーザーと単眼カメラの組み合わせに変更せざるを得なかったからです。

ダイハツが採用したステレオカメラ。デンソー製である。
ダイハツが採用したステレオカメラ。デンソー製である。
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 トヨタが2017年末に発売した、新型「レクサスLS」は、ミリ波レーダーとステレオカメラを搭載しました。自動ブレーキでは障害物との衝突が避けられないが、自動緊急操舵で衝突回避できる可能性がある場合に、ステアリングを自動で操作します。この機能は、単眼カメラではできないため、ステレオカメラを採用しました。ただ、ステレオカメラは、レクサスLSのみであるため、採用は限定的です。

 コストで評価すると単純にステレオカメラが高いということではありません。レーダーと単眼カメラの組み合わせは、欧州のContinental社をはじめとしたメガサプライヤーが主導権を握って大量生産、供給して価格競争力を高めていることにあります。日本の部品メーカーの競争力を確保するためには、メガサプライヤーと互角に戦えるだけの量を確保しないと、日本ばなれは加速していくでしょう。

 幸い、日本はアジア市場で一定のシェアを持っています。今後、インドやインドネシア、タイなどで、自動ブレーキのシステムが普及する段階でシェアを確保できれば、グローバル競争で生き残る道はあるでしょう。2018年は、その分岐点の年になります。