「新しいアプローチの風力発電に高い情熱をもってチームとして取り組んでいる」

 J-TECH STARTUP銘柄の選定に当たって、そんな評価を受けたのが、日本の気候風土に合致した風力発電機を開発しているチャレナジー(代表取締役CEO 清水敦史氏)である。同社が目指すのは台風も、風向きの変化も気にせず動く装置だ。

†J-TECH STARUP銘柄を表彰する「J-TECH STARTUP SUMMIT 2016」が東京・浅草橋で12月7日、13時~開催されます。チャレナジーの取締役CTO 小山 晋吾氏が講演します(詳細はこちら)。

垂直軸型マグナス式風力発電機の試作機
垂直軸型マグナス式風力発電機の試作機

 欧米に比べて風力発電の導入が遅れている日本。その理由の一つに、日本では風力や風向が安定せず、台風のような強風がやってきて、装置が暴走・破損してしまうのが原因があるという。

 それなら、欧米で一般的なプロペラ型をやめ、別の方式でやればいいのではないか――。そんな発想から同社が研究開発を進めているのが、「垂直軸型マグナス式風力発電機」だ。野球のカーブボールが曲がるのと同じ原理「マグナス効果」を利用して、3本の円筒形の回転体によって発電機を回す。マグナス効果とは、流体中に回転体を置くと、片側は回転体との摩擦で流体の流れが速くなり、反対側は逆に遅くなるという原理を使うもの。この流速の違いにより圧力差が生じて、流体の流れと直交する方向に力(マグナス力)が働く。チャレナジーの風力発電機では、この円筒を同心円上に並べ、円の接線方向の力が発生させることで軸をまわす。

 この風力発電機が日本のような環境に向いているのは2つの理由があるという。まず、垂直軸なので、風向きに関係なく回る。また、回転体の回転速度によって垂直軸の回転速度も調整できる。

 2016年8月からは沖縄県南城市でフィールド試験を開始し、実用化への1歩を踏み出した。2019年に10kW級装置の量産販売を目指している。

■会社概要■
会社名:株式会社チャレナジー
本社所在地:東京都墨田区
事業内容:次世代風力発電機の研究開発
代表者:代表取締役CEO 清水敦史
設立:2014年10月1日

テクノロジーオンラインの関連記事

【挑戦者】風力発電業界のドン・キホーテ
■変更履歴
初出時でJ-TECH STARTUP SUMMITでの講演者としてCEO 清水氏いましたが、CTO 小山氏が登壇することになりました。本文修正済みです。[2016/12/07 10:00]