飲み込んだ食事が誤って肺に入り、肺炎になる。この誤嚥によって起きる肺炎を誤嚥性肺炎と呼ぶ。実は、日本人の死因の第3位は肺炎で、75歳以上の高齢者の肺炎の9割が誤嚥性肺炎である。この誤嚥を起こさないように適切にケアしながらも、質の高い生活を送れることを目的に作られたウエアラブル機器が「GOKURI」だ。筑波大学発で起業を目指すチーム、PLIMESが開発した

†J-TECH STARUP銘柄を表彰する「第2回 J-TECH STARTUP SUMMIT」が東京・霞ヶ関で2月1日、13時~開催されます。ここでPLIMESの代表者も講演します(詳細はこちら)。

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 高齢者が誤嚥を起こしやすいのは、飲み込み時に反射的に気道を閉じる反応(嚥下反射)が衰えるためだ。残念ながら嚥下反射が衰えた場合、機能回復は見込めない。嚥下反射に問題を抱える人ができる対策は、食事を飲み込むときの体位の工夫し、流動性の高い食事を与えることである。

 誤嚥性肺炎による死亡が多いことから、介護者が誤嚥を恐れ、嚥下反射が十分機能していても、高齢者に流動性の高い食事を与えることが少なくない。また、嚥下反射に障がいがあることがわかると、経口ではなく、直接、胃に食事を送り込んだりすることもある。しかし、このことは高齢者の生活の質を下げる。流動性の高い食事はおいしくないし、経口で食べれないとなれば、食事をする楽しみが奪われてしまう。

 生活の質をなるべく維持しつつ、誤嚥も起こさない。そのために必要なのが、嚥下反射の機能低下がどのくらいなのかを知り、その重症度に応じた柔らかさの食事を提供し、体位を指導することだ。

 これまでも嚥下反射が機能しているかどうかは、医師が食道の周辺に聴診器を当てて判断したり、X線造影をして食事が肺の方に流れていっていないかを確認することで判断できた。しかし、嚥下反射の衰えがわかっても、その重症度の判定は難しかった。GOKURIは、のどに当てるマイクとスマートフォンで構成される簡易な機器でありながらも、嚥下反射障がいを定量評価が可能である。このため、誤嚥が起きている人に対して画一的な対処ではなく、重症度に応じて食事の柔らかさ調整できるようになる。この結果、「自分で経口摂取を持続できる世界」(同社)を実現できるいう。

 まずは、介護施設へのGOKURIの貸し出しと、計測・評価の技術を医療機器メーカーにライセンシングをビジネスの核とすることを計画している。

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■組織概要■
チーム名:PLIMES
事業内容:嚥下機能評価機器「GOKURI」の開発
代表者:鈴木 健嗣/下柿元 智也