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高安 篤史=コンサランス、サートプロIoT技術講師、中小企業診断士
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高安 篤史=コンサランス、サートプロIoT技術講師、中小企業診断士
 前回は、日本の各企業の動向とIoT(Internet of Things)への取り組みの課題について説明しました。今回は、それらの課題を解決する「IoTのビジネス設計(ビジネスモデル作成)」について取り上げます。

 ビジネス設計とは、一般に「儲けの仕組み」などとも言われ、事業の成功の可否に関わるポイントとなるものです。ビジネスモデルを目的や戦略、方針と共に、俯瞰的にかつリスクを考慮して作成することで、真のIoTビジネスとなります。このビジネスモデルを基に、日程などの詳細を含んだ事業計画に落とし込むことになりますが、根幹のビジネスモデルが不十分であると、事業計画自体が「絵に描いた餅」になってしまいます。ビジネス設計では、自社の強みや差異化、付加価値をポイントに置くことが必要です。

 加えて、IoTでは市場の変化に追従することも重要です。しかし、ビジネス設計の根拠が不明確であると変化に対応できません。こうなると、価値を生み出さないビジネス設計で事業を継続することになり、結果的に失敗してしまいます。

 IoTは無限の可能性を秘めていると言われます。しかし、その範囲が広く本質を見極めるのが困難であるため、ビジネス設計を行う際は、そのポイントを整理する必要があります。特にIoTでは、「価値」と「コンセプト」を十分検討した上で、ビジネス設計を実施する必要があります。これらのポイントは、第3回でも説明した下記の課題解決の手段として活用可能です。

①IoT全体を俯瞰できるIoTエンジニアの育成
②必要なIoT関連技術の習得
③自社の強みとなる分野の見極めと集中
④IoTによるユーザー価値の創造
⑤変化に対応するバリューチェーンの確立
⑥役割分担とコラボレーションの加速
⑦野良IoTの防止などのセキュリティーの確保
⑧経営層などのIoTへの適切な投資判断
⑨IoTビジネス設計(ビジネスモデル作成)の作成

 私は、主に次の5つをIoTビジネス設計のポイントとして捉えています。それぞれの視点からIoTを俯瞰することで、複雑な内容を整理できると思います。

[1]データの価値の進化
[2]バリューチェーンの作成
[3]IoTの階層(レイヤー)の整理
[4]IoTコンセプトの10のポイント
[5]IoTビジネスの4つの段階

 [1]と[2]で「価値」を、[3]と[4]で「コンセプト」を検討します。[5]ではそれを基に全体のビジネス設計を固めるという流れです。それでは、それぞれのポイントにどのような意味があるのかを確認していきましょう。