IoTへの取り組みの課題

 では、現実にこうした問題を解決するための課題について考えていきましょう。皆さんは自社がIoTに取り組む上での課題を適切に把握できていますか? 各企業がIoTへ参入し、ビジネス的に成功を収めるための課題としては、次のようなものが考えられます。

①IoT全体を俯瞰できるIoTエンジニアの育成
②必要なIoT関連技術の習得
③自社の強みとなる分野の見極めと集中
④IoTによるユーザー価値の創造
⑤変化に対応するバリューチェーンの確立
⑥役割分担とコラボレーションの加速
⑦「野良IoT」の防止などセキュリティーの確保
⑧経営層などのIoTへの適切な投資判断
⑨IoTビジネス設計(ビジネスモデル作成)の作成

 これらの課題の難易度は非常に高いのですが、特に⑨のIoTビジネス設計(ビジネスモデル作成)の作成は、①~⑧とも関係してIoTを成功させる鍵となります。課題解決が進まない理由は、IoTの重要性は理解してはいるものの、目的や戦略、方針が漠然としたまま、IoTを「目的」として捉えてしまっていることに起因していることが多いようです。「単にものとものをつなげばよい」「データを蓄積すればよい」といった発想から、アイデア勝負の見せ掛けのIoTとなってしまっていることもあります。IoTはあくまでも手段であり、最終的には、効率化によるコスト削減と、ユーザーに価値ある製品やサービスを提供することを実現して、ビジネスとして成功させることがIoT化の目的です。

 次回は、上記の課題を解決するための「IoTのビジネス設計(ビジネスモデル作成)」について取り上げたいと思います。