開発No.011「自動で濡れティッシュ」の目的は、濡れティッシュの自動取り出し装置(ディスペンサー)を用いて、新たビジネスに取り組むことだ。ユニットに手をかざすと、受け皿が開き、濡れティッシュが1枚ずつ自動で出てくる。このありそうでなかったこの装置を紹介すべく、2015年8月26日に説明会を開催した。当日は建設業から清掃、外食、雑貨、包装といった多様な業界の参加者が集った。

 ディスペンサーは一見すると非常にシンプルな製品だが、開発した松尾製作所の工夫がたくさん詰まっている。まず、濡れティッシュの乾燥を防ぎ、いつでも清涼な使用感を得られるような密閉構造。そして、手を触れずに起動できる人感センサーを用いた感知システムである。コア技術となる濡れティッシュを1枚ずつ取り出す機構は試行錯誤の末に開発に成功したもので、特許を出願中だ。

 このほか、どこでも設置できるように小型化を進め、電源がないところでも簡単に設置できるように乾電池での駆動を可能にした。ティッシュの詰め替え作業を簡易化するため、カートリッジ単位で入れ替えできる設計を前提にしているという。

 デモンストレーションでは、3Dプリンターで造形した筐体の試作品を披露し、実演を行った。参加者からは「専用の濡れティッシュを企画し、供給するビジネスを展開できるのではないか」といったビジネスプランについて声が上がった。

披露した試作機
披露した試作機
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 応用先についても「建設現場で冷たい濡れおしぼりを供給できれば、大変喜ばれる」との意見が建設業の参加者から出た。さらに、女性の参加者からは「化粧品関連やシートマスクなどへの展開を絶対にやるべき」と、女性ならでは視点からアドバイスをもらうことができた。

 ユニットを開発した松尾製作所は、「自社単独ではビジネス構築に限界があり、一緒に展開をお願いしたい」と、説明会の参加企業への要望を語った。リアル開発会議では今後、説明会に参加した企業との共同開発の進展を引き続き、サポートする。