そのシャープなデザインに魅かれた人も多いだろう。2015年の「グッドデザイン賞」を受賞した電動義手「HACKberry(ハックベリー)」。コンセプトモデルの「Handiii」と共に「超福祉展*1」に登場し、デモンストレーションの日には黒山の人だかりができるほどの大盛況となった。
HACKberryは、装着者の筋肉の動きを判別して動く「電動義手」である。モーターの数を減らすなどさまざまな工夫を重ねて安価に製造することが可能になった。しかし、最大の特徴は「オープンソースになっていることと、3Dプリンターで作ることが可能な点」と、開発したexiiiのCEOである近藤玄大氏は言う。
眼鏡と同じような義手
exiiiは、ソフトウエア担当の近藤氏、ハードウエアを担当するメカニカルエンジニアの山浦博志氏、デザイナーの小西哲哉氏の3氏が創設した。
「電動義手は高額で、日本での普及率も低い。もっと安く作ることはできないか。もっと個性を出すものとして使えるようにできないだろうか。腕時計やスニーカーを選ぶように、ファッションとして自由に選べる義手を作ることはできないか。そういう思いで開発プロジェクトは始まった」(小西氏)という。
「よく例に出すのは眼鏡。視力が低い人の補助道具だったが、いつしかファッションアイテムになり、だて眼鏡も使われるようになった。そういう地位にしてみたい」(近藤氏)。
「注目してほしいのは、オープンソースであることと、3Dプリンターで作れること」と近藤氏が言うように、HACKberryの3Dデータ、回路基板のデータなどはすべてオープンソース化されており、世界中どこからでもダウンロードし、利用することが可能になっている。「価格や地理的な要因で義手を使うことができない人が世界中に大勢いる。オープンソースと3Dプリンターがあれば誰もがHACKberryを使うことができる」(近藤氏)。