見た目のカッコ良さにこだわり、2011年にハンドバイクジャパンのハンドバイクはグッドデザイン賞を受賞した
見た目のカッコ良さにこだわり、2011年にハンドバイクジャパンのハンドバイクはグッドデザイン賞を受賞した
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 クランクを手で回して進むハンドバイク(ハンドサイクル、手こぎ自転車)を製造するハンドバイクジャパンの「HBJ-YE20」。このハンドバイクは、宇賀神溶接工業の宇賀神一弘氏と、テコデザインの柴田映司氏によって、たった1人の願いを叶えるために作られたものなのだった。

 2009年、自転車事故で脊椎損傷の怪我を負って下半身が不自由になった人が飛び込みで宇賀神溶接工業を訪れ、「自分が乗れる自転車を作って欲しい」と依頼。その熱意に共感した宇賀神氏が柴田氏を誘ってプロジェクトをスタートした。

 宇賀神氏も柴田氏も、それまで自転車の製造をしたことはなかったが「どうせなら、障害者の方だけではなく、健常者の方でも楽しめる、今までにない新しいものを作りたい」と、この「HBJ」シリーズを生み出した。

障害の有無を超えた新しいスポーツの楽しみ

 誰もが簡単に乗ることができる「HBJ」シリーズ。もちろん公道を走ることができ、最高で時速30kmほど出るため、通常の自転車と同様に風を切って走る楽しみを感じることができる。3輪で自立し、電動アシストもついていることから、高齢者や障害者にもオススメだ。実際、現在の購入の割合は障害者が6割、健常者が4割ほどだそうだ。

 従来の自転車用のパーツを使用していることから、一般の自転車店でも修理が可能。自転車ファンのカスタマイズ欲を満たすこともできるのが特徴だ。

 ハンドバイクジャパンのブランドコンセプトは「イージー&ファン」。そのコンセプト通り、誰もが気軽に楽しむことができるハンドバイク「HBJ」シリーズは、障害の有無を超えて、人々に新しいスポーツの楽しみを教えてくれる。

テコデザインの柴田氏。最近では海外からの問い合わせも多いという。「超福祉展<sup>*1</sup>」で
テコデザインの柴田氏。最近では海外からの問い合わせも多いという。「超福祉展*1」で
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*1 正式名称は「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」(2015年11月10~16日開催)