「超福祉展<sup>*1</sup>」で行われたシンポジウムでは「&Y01」が実際に動く様子を披露。会場を涌かせた
「超福祉展*1」で行われたシンポジウムでは「&Y01」が実際に動く様子を披露。会場を涌かせた
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 楽器や音響機器のヤマハと、オートバイなどのヤマハ発動機。二つのヤマハがコラボレーションして生まれた「&Y01」は、音を奏でる車いすだ。アーティストやデザイナーと、企業や福祉施設などをつなげる新しいものづくりやことづくりに取り組むNPO法人「SLOW LABEL」のパフォーマンスなどに使用されている。

 この「&Y01」は、船や八分音符をイメージしてデザインされている。帆の部分にはヤマハの超薄型・軽量のスピーカー「TLFスピーカー」が用いられており、全面から音が真っすぐに出るので、遠くまで音を伝えることができる。

「楽器に乗る」という新しい体験

 車いすのベースは、ヤマハ発動機の電動アシスト車いす「JWスウィング」。車いすのハンドリムを漕ぐ力をモーターがアシストしてくれるので、左右の握力が違う人でも自らの力で移動できる範囲を広げてくれる。タイヤの部分にはパーカッションが取り付けられ、動きながら演奏をすることができ、「楽器に乗る」という新しい体験を演出している。

 「普段はフル電動の車いすに乗っているパフォーマーには、初めて自分の力で車いすを動かすことができ、音と風を感じながらパフォーマンスができたことがすごく嬉しかったと仰っていただきました」と、ヤマハ発動機の福井美佐氏が教えてくれた。

「&Y」プロジェクトを主導したヤマハの川田学氏(右)とヤマハ発動機の福井美佐氏(左)。「『&Y01』を見て、ワクワクしてもらいたい」と川田氏
「&Y」プロジェクトを主導したヤマハの川田学氏(右)とヤマハ発動機の福井美佐氏(左)。「『&Y01』を見て、ワクワクしてもらいたい」と川田氏
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 この「&Y01」のコンセプトを共に作り、パフォーマンスにも使用しているSLOW LABEL ディレクターの栗栖良依氏は「例えば『&Y01』が小学校にあれば、きっと子供たちは我も我もと楽しむと思う。すると、表現の可能性はどんどん広がっていくでしょう」と語った。

 パフォーマンスができる車いす「&Y01」は、表現の可能性を広げるだけではなく、車いすを見る目も変えていく可能性を秘めている。

*1 正式名称は「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」(2015年11月10~16日開催)