東京パラリンピックの開催を契機に社会の変革を目指す「超福祉展(正式名称:「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」:2018年11月7日(水)~13日(火)渋谷ヒカリエ他)が始まった。「カッコイイ」「カワイイ」「ヤバイ」をキーワードに、優れたプロダクトやデザインのちからで、障害者や高齢者などマイノリティーとマジョリティーとの間にある“意識のバリア”を乗り越え、福祉のあり方を変えようとする取り組みだ。

 超福祉展に登場する技術・製品・ソリューションは、従来の福祉の枠にとどまらず、モノづくりの未来、これからの社会のあり方を考える多くの示唆にあふれている。優れた展示が揃うが、とりわけユニークなアイテム、ソリューションをピックアップし、紹介する。そこにはスポーツビジネスにとってのヒントも転がっている。第3回は、2年前からグループを挙げて積極的に出展している富士通の2つのアイテムを取り上げる。これらのアイテムからは、富士通が超福祉展を開発の現場として活用していることが見て取れる。

技術者が社会課題にタッチ

 富士通の狙いのひとつは、開発部門が社会課題に直接触れ、イノベーションを起こす契機を見い出すためだ。その積極参加を主導した、同社のオウンドメディア『あしたのコミュニティーラボ』編集部員の今村仁美氏は、「超福祉展は未来の当たり前を見い出す実験場」だと話している*1

 開発中や開発済みを問わず、可能性のある製品・ソリューションを展示し、超福祉展を訪れたユーザーからフィードバックをもらう。それは時としてシーズとなるアイデアであるかもしれないし、あるいは当事者たちのニーズであることもある。シーズとニーズ、両方を見い出せる共創の場。それが企業から見た超福祉展のもう一つの顔だ。今年はグループ全体で4アイテムを出展している。