役割はコーチングや戦術の基礎を作ること
私は日本スポーツ振興センターのハイパフォーマンスサポート事業に所属し、主に視覚障害者柔道、パラトライアスロン、パラアーチェリー、そしてボッチャのパフォーマンス分析スタッフとして活動しています。オリンピック競技の場合は各競技に専任スタッフが着くことが多く、私自身、かつてはアーチェリー専任でした。しかしパラリンピック競技の場合、1人の担当者が複数の競技を横断的にサポートする形が多くなっています。
パフォーマンス分析スタッフの役割は、主に次の3つだと考えています。
(1)映像やICT(情報通信技術)を活用して、選手の技術向上、戦術の立案、指導者がコーチングする上での基礎資料を提供する、(2)チームの中で選手やコーチとは違った視点で競技を見る、(3)パフォーマンス向上に直結するサポートを行う――。
私の場合、特に映像を扱ってデータを収集していますが、生理学を扱ってサポートするスタッフもいますし、トレーニングについて造詣の深いスタッフもいます。それぞれが自身の持つ特徴を生かしながら、チームや選手をサポートしています。
オリンピック競技より他分野スタッフとの連携が肝要
オリンピック競技とパラリンピック競技で、パフォーマンス分析スタッフの仕事はどのように違うのか。実は、あまり大きな違いはありません。いずれの場合も「練習や試合の映像を撮影し、データ化して選手や指導者にフィードバックする」「映像のデータベースや、選手のコンディショニングデータベース(睡眠時間や体重等の生理データを集めたもの)の作成・運用」が基本です。
ひとつ異なる点を挙げると、パラリンピック競技の場合は、他分野のサポートスタッフとの連携がより重要になってきます。パラリンピアンは、オリンピアンよりも試合直後のコンディショニングケアが重要になることが往々にしてあります。そのため試合直後に選手にデータをフィードバックするには、コンディショニングケアスタッフなどと連携して情報を渡すことが重要になるのです。