仕事柄いろいろな工場を訪問するが、早めに着いた時はその周りを歩いてみることにしている。中に入らなくても、外から様子を見ただけでその工場の状態がおおむね分かるからだ。
お店の玄関前が汚いと
飲食店を思い浮かべると分かりやすいだろう。インターネットなどの情報を何も持っていない時、多くの人はその飲食店に入るか否かを外観で判断する。入口の前が汚かったり、周辺にゴミが散らかったりしているような店に入りたいとは思わないだろう。そのような店は衛生管理ができておらず、従って満足のいく料理やサービスも期待できない。逆に、外の清掃が行き届いているお店なら、店の中もきれいで、食材もきちんと管理していると想像できる。すなわち、外観を見るだけで早晩潰れる店か、繁盛する可能性がある店かは判断できる。
このことは、飲食店以外の工場や企業についても言える。外観を見るとその工場の状況はおおむね分かるのだ。実際、工場の周りを歩いてみると、建物の外に部材が置かれていたり、使われていないと思われる物を積んで放置している部屋が窓から見えたりすることがある。草が茂っていたり、段ボールや通い箱などが放置されていたりする工場もある。
そうした工場は、得てしてキャッシュフローへの意識が低く、ムダな物流工数や廃棄ロスなどが多い。この連載で何度も言ってきたように、「物はお金が形を換えたもの」。それを放置しているということは余分な金利負担とともに管理コストの発生に気を使っていないということであり、業績が良いはずがない。