今回は経営を再建する際の代表的な手順について紹介する。

 グローバル化が加速し海外の生産拠点が増えると、中には必ずしも経営が順調とは言えないところも出てくる。経営再建の任にあたることもまれではない。拠点戦略の見直しという視点から拠点閉鎖という選択をする場合もあるが、今回は経営責任者として再建を担う立場だったとすればどんなステップで経営再建を図るのが望ましいか、という視点で述べたい。

経営が行き詰まるのは

 そもそも経営が行き詰まるというのはどういう事態だろうか。それは、キャッシュが垂れ流しになって資金繰りが回らない状態に他ならない。すなわち、事業を続ければ続けるほどお金が無くなっていく状況である。いよいよお金が無くなり支払いができなくなれば、ついには倒産ということになる。

 これはキャッシュフロー計算書で言うと、フリーキャッシュフローがマイナスになっているということ。借入金の返済原資が無いばかりか、逆に借入れを増やしたり増資したりといった財務キャッシュフローで息をつながざるを得ない状態だ。

 このような会社は、減価償却費を上回る赤字によって営業キャッシュフローがマイナスになっていたり、赤字続きで債務超過に陥る寸前だったり(もしくはすでに陥っている)する。

まずは当面の資金繰りを

 そのような状態で、まず確認すべきは直近の資金繰りだ(表1)。経営再建を図るにしても、拠点を閉鎖するにしても、銀行取引停止(すなわち、倒産)となってしまっては打つ手がないからだ。併せて、経営再建のために残された時間を確認するという意味もある。
表1 資金繰り・実績見通し表の例
お金の入りである「経常収入」と支払いである「経常支出」などを記入して毎月のお金の動きの実績や見通しをまとめたもの。
表1 資金繰り・実績見通し表の例
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