今回は、経営推進の根幹となる「経営計画の策定」について述べる。特に海外拠点の場合、日本の親会社や地域本社などに経営計画について承認をもらった上で、海外拠点の責任者はその計画の達成責任を果たすべく日々、計画に基づいて経営を推進することになる。それだけに、まず重要なのが、どれだけ裏付けある経営計画を立てられるかということである。

達成できるかどうかは策定時に分かる

 裏付けのある計画が策定できると、計画策定した時点で「達成できる」という自信が持てるものだ。筆者の経験からすると、計画の8割以上は策定時点で達成の可否が決まっているといってもよい。

 例えば、合理化計画について具体的な合理化案が幾つか提示され、その中の実現可能性の高いもので計画を策定できれば、「間違いなくここまでは合理化できる」という自信が持てる。一方、具体的な裏付けがない計画は、走りながら考えるといった項目が多い。具体案がないまま○%としておこうといった目標数字だけで策定した計画は、裏付けがないので達成は難しい。どこまで、具体的な実行計画に落とし込めているかが、経営計画の鍵なのだ。

裏付けある計画とするために

 コンサルタントとして顧客企業の経営診断や経営支援をする際に経営計画を見せていただくのだが、裏付けがないのでは?と思われる計画に遭遇することが意外に多い。単に、「この位の数字は達成できるだろう」という予想数字をまとめたものだったり、どこからこんな計画数値が出てきたのかと首をかしげざるを得なかったりする。

 基本的には、資金計画でも利益計画でも、その内訳が分かるような階段グラフの形(○○によっていくら資金が増え、△△でいくら資金が減るというようなもの)で計画を策定することが大切だ。具体的な取り組み項目と共に、それによって資金をどれだけ増やし、利益をいくら増やす計画なのかを明確にするということだ(図)。具体的な取り組み項目が明確になっているということは、部門別の取り組み計画も明確になるということであり、それらが計画数値にリンクしていることを意味する。階段グラフの形で組み立てられているということは計画における重要なポイントなのだ。

図 利益計画の組み立て例
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図 利益計画の組み立て例
どの項目でどれだけ利益の増減させるかを見極め、それぞれを各部門の具体的計画までブレークダウンする。