日本の生産方式の代表と言われるトヨタ生産方式は、平準化をベースに「ジャストインタイム」と「自働化」というキーワードで説明されることが多い。他の企業でも「同期化」や「整流化」「一貫化」という表現で、自社の目指すものづくりの姿を表している。

 どの表現も経営的な意味での根幹は同じだろうが、筆者は分かりやすさという点から、いつも「溜まりのないものづくり」という言い方をしている。ジャストインタイムも同期化も整流化も、基本は「溜まりのないものづくり」だからである。

 溜まりがないというのは、「在庫をためない」ということ。すなわち、「材料を買ったら、すぐに加工して製品にし、即座に出荷してお金に換える」ことだ。これまで繰り返し述べてきたように、キャッシュフロー経営の基本は、お金をモノにして寝かせることなく、いかに高速で資産を回転させるかにある。溜まりのないものづくりは、キャッシュフロー経営の推進そのものなのである(図)。

キャッシュフロー経営から考えるものづくりのあるべき姿
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キャッシュフロー経営から考えるものづくりのあるべき姿
在庫やムダな設備などを徹底的になくし、製造を滞留させない。