横浜DeNAベイスターズが、スポーツ分野で事業を展開するベンチャー企業を発掘・協業する新事業「BAYSTARS Sports Accelerator(ベイスターズ スポーツアクセラレータ)」を2017年12月に開始する。ベイスターズが保有する選手を始めとするさまざまなデータや外部とのネットワーク、さらに資金をベンチャー企業に提供するなどして強固に連携し、新たなスポーツ事業の創出を目指す。

横浜DeNAベイスターズ社長の岡村信悟氏
横浜DeNAベイスターズ社長の岡村信悟氏
[画像のクリックで拡大表示]

 12月に応募を開始し、2018年1~2月の審査を経て、2月以降にプログラムを開始する。対象となるスポーツは野球に限らないなど応募に特に条件は設けないが、「スポーツ事業に本気で取り組んでいるベンチャーが対象。支援ではなく対等なパートナーとして、次なる産業を共創したい」(社長の岡村信悟氏)。

 運営には、ベンチャーキャピタルのiSGSインベストメントワークスが協力する。主に資金提供面などを担う。投資規模や期間などについて目標値は定めていない。

 プロスポーツチームによるベンチャー支援事業は世界的な潮流となっている。先頭を切ったのは、米メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャース。2015年に「Dodgers Accelerator」を開始した。スポーツ・テクノロジーやスポーツ・エンタテインメントの分野で新技術やサービスなどを開発するベンチャー企業を支援している。

 2017年になってからは、サッカー・スペインリーグのFCバルセロナが「Innovation Hub」、英プレミアリーグのアーセナルが「Arsenal Innovation Lab」を立ち上げるなど、世界の著名チームがこの事業に相次いで参入している。

新産業創出に本気

 横浜DeNAベイスターズは2017年1月、ベイスターズを始めとするDeNAグループが有するスポーツリソースを中心に、横浜市や外部のパートナー企業とともに街づくりや産業創出を推進する「横浜スポーツタウン構想」を発表している。3月18日にはその中核施設となる「THE BAYS(ザ・ベイス)」を開設した。THE BAYSが目指すのは、「スポーツ×クリエーティブ」をテーマに、新産業を創出すること。シェアオフィスの「CREATIVE SPORTS LAB」では、会員の企業やクリエーターがオープンイノベーションを通じて商品開発などを行っている。

横浜スポーツタウン構想の中核施設「THE BAYS(ザ・ベイス)」。市の指定有形文化財に指定されている「旧関東財務局」の内部を改装して使用している
横浜スポーツタウン構想の中核施設「THE BAYS(ザ・ベイス)」。市の指定有形文化財に指定されている「旧関東財務局」の内部を改装して使用している
[画像のクリックで拡大表示]
 その第一弾として、超人スポーツ協会との共催によって「『超☆野球』開発プロジェクト」を実施した。これは最新のテクノロジーを用いて身体・道具・フィールドなどを拡張し、新しい野球の可能性の創造を目指して開発をハッカソン形式で行う取り組み。約35名のクリエイターが参加し、10月1日には横浜スタジアムで作品の発表会を開いた。

 このように既存のプロ野球団の枠を超えた新しい取り組みを次々に繰り出しているベイスターズだが、今回のスポーツアクセラレータは、スポーツ産業におけるエコシステムの構築に不可欠な外部パートナーとの連携を強化するものである。それは、いつの時代も新しい産業を生み出すのは、既成概念に縛られずに新サービスを繰り出すベンチャー企業であるからだ。