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スポーツ、世界への突破力

「マスから地域密着へ」を実現、J公式アプリの威力

Jリーグが公式アプリに秘めたデジタル未来像(後編)

2017/10/25 05:00

石井 宏司=スポーツマーケティングラボラトリー 執行役員

 今年25周年を迎えるサッカー「Jリーグ」は、2017年8月にスタジアム観戦の価値向上を図る目的でスマホアプリ「Club J.LEAGUE」を公開した。今回は、その取り組みについて関係者に聞くインタビューの後編。公式パートナーとして、実際にアプリの活用を始めた明治安田生命保険の西山英之氏の話をお届けする。

 今回のアプリは、ポイントプログラムの提供や、スタジアムWiFiで「DAZN」の無料視聴ができるなど、スタジアム観戦をより楽しくすることを目指す。大きな特徴は、サポーターだけではなく、リーグのパートナー企業がマーケティング活動に活用できることだ。導入してからの期間こそまだ短いが、アプリの活用で手応えを感じられる出来事が起き始めているという。
(聞き手は、石井 宏司=SPOLABo)

パートナーシップを組むだけでは具体的にならない

―― 企業がプロスポーツにスポンサーする理由や背景については、これまであまり表に出てこなかった部分です。明治安田生命ではどんな環境変化や背景があって、Jリーグのパートナーになったのでしょうか。

西山 Jリーグのパートナーになったのは、2014年です。近年、生命保険業界は市場が飽和状態で、新規のお客様の獲得というよりは、既存のパイの取り合いという状況に陥っていました。そういう中で、何らかの形で競合他社にはない優位点やブランドを構築しないといけない。そういう経営課題に直面していました。

 差異化したブランドを構築するには、本業とは違う切り口が必要となります。また、全国に多くのアドバイザーを抱え、対面販売をするというビジネスモデルを生かす必要もあります。そういう観点でいろいろと検討をしているうちに、Jリーグに行き当たりました。

 全都道府県でクラブを展開していること、スポーツ普及を通じて地域社会に活力を与えようとしていること、地域経済の活性化についても考えていることなど、自社の目指すものと親和性があると感じました。また、偶然にもJリーグで生命保険カテゴリーのスポンサーがいないということでしたので、手を挙げさせてもらったというのがこれまでの流れです。

明治安田生命を巡る環境変化(図:筆者)
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―― 2014年からサポートを開始して、すぐに変化が見られた、うまくいき始めたという感じだったのですか。

西山 リーグと自社がパートナーシップを組むことだけで何か生まれるかというと、実はなかなか具体的にはならない。これが最初の発見でした。というのも、我々は様々なことに地域単位で取り組みたいと思っていましたが、リーグとパートナーを結んだだけでは、そういう環境になりにくいのです。

 そこで2015年にはJリーグのタイトルパートナーになるとともに、J1からJ3の全クラブとスポンサー契約を結びました。そうすることによって初めて私たちがやりたいことを各クラブと取り組める環境が整いました。

―― 具体的に各クラブとはどんな活動をスタートしたのですか。

西山 最初に始めたのは、小学生向けのサッカー教室です。地元のトッププロに触れる機会をつくるということを全都道府県で実施しました。これは今も続けています。

 実際にやってみて、通常のサッカー教室と違い、Jリーグのクラブが非常にクオリティーの高い指導と会場を提供してくれるのが価値だと感じました。先ほどまでプロサッカー選手が練習をしていたピッチで教室があるとなると、やはり雰囲気が違います。そういう環境で小さいお子さんが目を輝かせてサッカーボールを楽しそうに追い掛けているのを見て、連れてきた保護者の方には本当にいい経験ができたと喜んでいただいています。

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