デジタルを、新たな武器にしたい

―― 具体的には、どんなことを手掛けているのですか。

西山 明治安田生命チャレンジという冠プログラムを、アプリの中で展開しています。具体的には、ユーザーが様々なアクションをすると、メダルが増えて、「がちゃがちゃ」を回せるという仕掛けです。例えば、ペアチケットが当選したりします。その観戦チケットを我々が権利として提供する。ペアチケットでお友達や知人を誘ってJリーグの試合に行く、というプログラムです。

明治安田生命が「Club J.LEAGUE」アプリで展開する「Jリーグチャレンジ」(画像:Jリーグ)
明治安田生命が「Club J.LEAGUE」アプリで展開する「Jリーグチャレンジ」(画像:Jリーグ)

―― 自社の課題に即して工夫したポイントはありますか。

西山 我々のアドバイザーがお客様にアプリを案内しやすいように、Jリーグに専用のプロモーションコードを用意してもらいました。これをアドバイザーがご案内し、お客様がアプリで入力すると、特別にバッジが2つもらえるという仕掛けになっています。

 実際にやってみると、デジタル領域でファーストコンタクトした方が、ストレスを感じない接点になりやすいということも分かってきました。

 これからそういう営業手法に変えていきたいし、新たな武器にしたいと考えています。現実はまだまだ「アプリ…よく分かりません」という古株のアドバイザーもいます。しかし、世の中はどんどん変わっていくので、我々はこういうものを活用してアドバイザーの意識や顧客接点のスタイルも変えていきたいのです。

―― 始まったばかりだと思いますが、具体的な効果や成果はありましたか。

西山 まだまだですが、積極的に活用し始めたアドバイザーが出てきています。例えば、あるアドバイザーが何十人ものお客様にコードを渡せているというケースも出てきています。彼女は、「このアプリはお客様を増やせる」という実感があってやっているのだと思います。

 実際にそういった特典をどのアドバイザーがいくつ配布しているのか、渡した結果、ユーザーに実際使っていただけたのかということまで把握できます。これもデジタルマーケティングのメリットです。

 また、Jリーグに「どこに行ったら、明治安田生命のアドバイザーに会えますか」という問い合わせが入ったそうです。これは驚きでした。お客様の方からアドバイザーに「会いたい」という動きが出たということは、従来の保険セールスの世界では画期的なことだと感じています。

―― これからについても、聞かせてください。今や、多くの世代にスマホが普及し、スマホの画面を覗いている時間が非常に長くなっているというトレンドがあります。今後、そういった環境変化にどう対応していこうと考えていますか。

西山 確かに、スマホは今や生活インフラになっています。このことは、当社でもきちんと捉えて、そこでの接点を増やしていかなければならないでしょう。

 正直なところ、まだ実験段階ですが、Jリーグの今回の取り組みがいい実験やトライアルになっています。知見を蓄積するには、自分たちだけでやるよりも、今回のようにパートナーシップを組んでやっていった方が手っ取り早いと思います。

―― Jリーグにこれから期待することは。

西山 まず、もっともっとファンやサポーターを増やしてほしい。Jリーグのことを好きになる人が増えれば増えるほど、我々が接点を持てる方が増えていくわけですから。そういう意味では新たなサポートツールを開発し、我々がそれを活用させていただくというパートナーシップを深められればいいと思っています。

 そして、Jリーグがハブになって、Jリーグのプラットフォームの上で同じような考えのパートナー企業が集まり、それぞれのパートナー企業が持っている資産や顧客基盤を持寄るようなことが起きるといいですね。今回のアプリのようなプラットフォームを活用するパートナーが3社、4社と増えてくれば、各社が連携したスポーツを中心とするビジネスのエコシステムが形成されていくことになるでしょう。そういう環境をJリーグと創っていきたいと思っています。

 我々もそうしたエコシステムづくりのために積極的に他の企業に声を掛けていき、タイアップなどを相談している段階です。