(写真:的野弘路、以下同)
(写真:的野弘路、以下同)

 日本のスポーツ産業を盛り上げるべく実現した、文部科学大臣(対談当時)の馳浩氏[注]と元プロ野球選手の松井秀喜氏の対談。今回はその第3回目をお届けする(第1回目の記事第2回目の記事参照)。

 文科省が初めて開催するスポーツに関する国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム(以下ワールド・フォーラム)」。同イベントを主催する側である馳大臣と、そのフォーラムのアンバサダーに指名された松井氏。最終回である今回は、スポーツと経済の関係を語ってもらった。アスリート同士の話題は、スポーツという枠を越えたものとなっていった。

(司会は藤沢久美・文部科学省参与)

[注]対談当時、馳浩氏は文部科学大臣。2016年8月に退任

――大臣はスポーツをもっと広げていこうということで“スポーツGDP”という言葉を作られ、スポーツの経済力を上げていこうというお話しをされています。ところが日本の一部には「スポーツをビジネスにするのはいかがなものか」という声もあります。
 松井さんは大リーグで活躍されていました。そういった意味で、日本のスポーツがもっと経済力をつけて、より多くの人に楽しんでもらえるために、米国からヒントを得るとしたら何があるとお考えでしょう。

松井:米国はそのあたり上手ですね。メジャーリーグでも、どうやって利益を上げるか本当に細かい仕組みがあります。僕は勉強中で、まだすべて理解していないところがありますが、ここは大事な部分なんです。

:私はいくつかポイントがあると思ってます。まずスタジアム文化やアリーナ文化です。

 海外では街中にスタジアムやアリーナがあって複合施設化されているところがある。街の人々がスタジアムを中心に生活し、例えば試合が終わったらスポーツカフェやパブに寄って帰ろうかなという気分になる。公共交通機関と連動していたり、十分な駐車場を備えていたり、人々が集まりやすい空間にしてあります。

 日本でも駅の周辺や中心地にスタジアムやアリーナがあって、ショッピングセンターやモール、福祉施設が一体となって連動している商業施設があればいい。たくさんの子供や高齢者、また障害者などのアクセスビリティの問題もありますが、そこも配慮した設備を整える。試合で勝ったり負けたり、何かを感じ取った後に、みんなで帰りながら飲食を楽しんで余韻を持って家に帰る。