スポーツやエンターテインメントの世界では、IT(情報技術)を導入したスマート化がますます進んでいる。今年の第50回スーパーボウルが開催された米国のリーバイス・スタジアムの先駆性は既に話題となっているが、近い将来、ITはスタジアムでの実体験を超える観客体験を、スタジアムにいる観客のみならず、同じ試合を家で、あるいは劇場で観戦するファンにももたらす役割を果たすだろう。
コロプラの石渡亮介氏(取締役 サービス統括本部長)のインタビュー最終回では、コロプラが現在、世界市場をターゲットに積極的に取り組んでいるVR(仮想現実)分野について話を聞いた。VRはゲームのみならず、スポーツでも新しい感動を提供するプラットフォームとなり得るのか。石渡氏の言葉には、常に新鮮な商品でユーザーをワクワクさせるコロプラの原動力と魅力があふれていた。(聞き手は、上野直彦=スポーツライター)
試合で意外なところにカメラを置いて…
―― コロプラの今後の取組みやビジョンを聞かせてください。
石渡 エンターテインメントのこれからの広がりでいうと、スマートフォンのゲーム自体が、空き時間で楽しむという域を超えたものになっています。ゲーム関連のイベントをやれば、大変多くのお客さんが来て楽しんでくれていますし、声優を多数使っていることで別の楽しみ方が増えていたりもしています。
コロプラもユーザー数200万人を超えるスマートフォンゲーム「バトルガール ハイスクール」内の楽曲で音楽CDを出したところ、声優が歌うキャラクター・ソングのシングルがオリコン17位になったこともありました。このようにゲームを軸にいろいろな楽しみ方があって、コンテンツはもちろん、グッズなども含めて多くの広がりが出てくると思っています。
ゲームを楽しむデバイスでも、面白いものが登場していますね。例えば、ヘッドマウントディスプレー(HMD)を使ったVR(仮想現実)です。スマートフォンに加わる次のプラットフォームになるでしょう。
―― コロプラでは既にVR対応のゲームを出していますね。反響はどうですか。
石渡 「Gear VR」や「Oculus Rift」といったVR端末(HMD)に向けて本格的に開発したゲームは世界的にも少ないですが、コロプラが出したゲームを楽しんでいる人の様子を見ると、VRの楽しさは万国共通なんだなと感じます。
VRはゲームだけのものではありません。さまざまな体験を売るビジネスにつながると考えています。コロプラでは、オリジナルの360度動画を配信する「360Channel(サンロクマルチャンネル)」というグループ企業を立ち上げ、映像制作にも取り組み始めました*1。