オークランドの予想経済効果は24億円
オークランド観光・イベント・経済開発局(ATEED)によると、この大会による総参加者数は3万4876人。アスリートとして参加した人のほか、ボランティアやサポーターとしての参加も1万人近くあった。約3万5000人の参加者のうち、半数が海外からの参加で、オーストラリア、米国、カナダからの参加が目立った。
ATEEDでは、WMGによってオークランドにもたらされる経済への影響をGDP効果で3080万ニュージーランドドル(約24億240万円)と予想。来訪者の総宿泊数は24万4000泊と見込んだ。
WMGを「グレート・イントロダクション」に
ニュージーランドという国は、決して大きな国ではない。面積は日本の約4分の3。国内最大の都市であるオークランドでも人口は約160万人。これはニュージーランド全体の人口の34%に相当する。
「大会への参加をきっかけに初めてオークランドを訪れたという人も多いでしょう。WMGはオークランドやニュージーランドを知ってもらう『グレート・イントロダクション (良い導入)』になりました」と、ATEEDの最高経営責任者であるブレット・オライリー氏は振り返る。
ATEEDが目指したのは、WMGをきっかけに一時的な訪問者数を増やし、利益を生むということだけではない。ホストタウンとしてWMGを運営した実績を基に、オークランドが国際的に主要なイベントを開催できるだけの能力があるということを世界に向けて発信し、今後、他のイベントの招致につなげたいと考えたのだ。
スポーツ大会とビジネスをどう結び付けるか
またATEEDでは、WMGの参加者に事前のアンケートを実施。回答者の1割は今後ニュージーランドでのビジネスや移住に興味があると答えたという。ATEEDの主要イベント部長を務めるシャーメーン・アリーム氏は「WMGの参加者がどんな形でニュージーランドのビジネスとつながれるかを考えた」と話す。
WMGの開催期間中にATEEDが用意したイベントは6つ。オークランドで開発が進む地域を視察するバスツアーや、地元の企業とのネットワークミーティング、投資や移住に関するセミナーのほか、政府機関「スポーツ・ニュージーランド」と協力し、「スポーツとビジネス」をテーマにしたフォーラムも開いた。WMGとビジネスイベントを掛け合わせた取り組みはオークランドが初めてだという。
2017オークランドから2021関西へ「引き継ぎ」
人気があったのは、レジャーや観光と組み合わせたプログラム。ニュージーランドの先住民族・マオリに伝わる『ワカ』と呼ばれる船でのセーリングなどが好評だったという。「オークランドという街を知ってもらい、この街がスポーツに適していると認識してもらう。『ブランド』としてアピールすることが大切でした」とアリーム氏は話す。
取り組みに手応えを感じる一方、オライリー氏は改善点についても触れる。「今回、ビジネスイベントをWMGの開催期間中に用意しましたが、一度大会が始まると試合予定が変わるなど急な変更が生じます。開会よりも数日前に来てゆっくりして過ごすという人が多くいたため、開会の直前にイベントを用意するのが効果的だと学びました」
WMGを1つのイベントで終わらせず、次のビジネスチャンスへの足掛かりにする。「今回つながった人や企業を通じて、今後さらにオークランドを発展させたい。私たちが今回得た経験や知識を共有することで、オークランドと関西、ニュージーランドと日本の関係を強固にし、経済や貿易の発展につなげていきたいと考えています」とオライリー氏は話している。