―― 責任重大ですね。どんな人材を求めているのでしょうか。

中田 「新しいマーケットにチャレンジしたい」「ラグビーをはじめとするスポーツビジネスの環境を良くしたい」という志のある人材の応募を期待しています。

 もちろん、理想は「スポーツ×マーケティング」に秀でた人物です。でも、「スポーツ」という分野に限ってしまうと人材の母数が極めて小さくなってしまう。今回は、マーケティングに携わった経験を持つ様々な業種のプロ人材を求めています。特にマーケティング局長については、実際に事業のマネジメントを手掛けて、ビジネスの第一線で活躍してきた人物に来ていただきたいですね。

組織委員会による公募の選考方法やスケジュール。転職サイト「ビズリーチ」から応募できる。組織委員会のプレゼン資料から。
組織委員会による公募の選考方法やスケジュール。転職サイト「ビズリーチ」から応募できる。組織委員会のプレゼン資料から。
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―― 最近はスポーツの国際競技団体でも、それぞれのスポーツを経験した人物に限らず、一般企業でマネジメントや現場の実務を経験した専門性を持つ人材を採用するケースが増えています。

中田 その通りです。海外では、一般のビジネスの世界からスポーツビジネスへという人材の流れが当たり前になっています。その逆もしかりです。あるスポーツの国際競技団体から、別のスポーツの国際競技団体に転職することもよくあります。そういう人材の流れが生まれることは、日本のスポーツ界にとってもプラスになるはずです。

明治維新に立ち会っているような気分

―― 中田さん自身、大手商社を辞めて組織委員会に転職したそうですね。キャリアという観点で今回の公募に応募するメリットをどう考えていますか。

中田 自分自身は、スポーツビジネスに転身して、とてもハッピーです。理由は、大きく4つあります。

 第1に、学生時代にラグビーをやっていたこともあり、自分が好きなことを仕事にできているということ。第2に、ラグビーW杯や東京オリンピック・パラリンピックなどのビッグイベントを控える日本は、スポーツビジネス全体が盛り上がろうとしているのでマーケット環境がいい。仕事の中で高揚感を得られます。明治維新に立ち会っているような気分なのではないかと。

 そして第3に、ラグビーというスポーツ自体が生まれ変わろうとしていることです。長い歴史があるスポーツですが、サッカーなどのように成熟した産業ではなく、発展途上でこれからさらに良くなろうとしています。

―― それは日本だけではなく、世界で、ということですか。

中田 ええ。それが最後の理由なのですが、今回の日本大会に対する世界の関心はとても高いんです。

 ラグビーは、世界で約600万人の競技人口を抱えるスポーツです。このうちアジアの競技人口は60万人で、日本は10万人とアジアでは最大です。競技力も高い。ただ、世界の人口構成を考えると、70億人のうち6割がアジアにいるにもかかわらず、ラグビーの競技人口では10%しか占めていません。そうした中でアジアで初めてW杯を開催する。日本大会は、ラグビー普及のグローバル戦略で大きな位置を占めているわけです。