TEAM Marketing社はUEFA(欧州サッカー協会)のマーケティング・エージェンシーで、「UEFAチャンピオンズリーグ」という、世界でも最高の質を備えるベストなサッカークラブのリーグ、そしてヨーロッパリーグなどの放映権やスポンサーシップ販売を始めとする全ての商業面を担当している会社です。そこで、私はアジア、オセアニア、中東、北アフリカ地区の統括責任者を務めています。
TEAMとUEFAの関係は、「スポーツマーケティングにおいて世界で最も成功しているパートナーシップ」の一つと言えるかもしれません。通常、放映権などを保有するスポーツ団体(ライツホルダー)は自らビジネスを展開するか、もしくは年や国ごとに異なる代理店に任せます。しかし、私たちの場合は資本関係もないのに、リーグ発足から20年以上にわたって、決勝戦になると単年では世界で最も視聴される「チャンピオンズリーグ」での協力関係が続いているからです。
「25年にスポーツ産業を85兆円市場に」
欧州を拠点に世界でビジネスをするなかで日々感じているのが、欧州サッカー界における中国の存在感の急上昇です。
2014年10月、中国政府は2025年までに中国のスポーツ産業を5兆元(約85兆円)の市場規模にまで成長させる、とぶち上げました。
中国では中央政府が政策のガイドラインを出すと、地方政府がそれに沿った具体的な計画を作成します。中央政府のアクションを受けて計画を発表した26州の目標値を合計すると、市場規模はなんと約115兆円にまで膨らみます。これを絵空事という見方もありますが、これまで中国は計画経済にて多くを達成していますし、私は実現する可能性も大いにあると考えています。
2015年10月には、国家主席の習近平氏が欧州を歴訪した際、英国のビッグクラブの一つ、マンチェスター・シティーを訪問し、主力のセルヒオ・アグエロ選手とセルフィー(自撮り)をしました。習氏はサッカー好きで知られ、中国をもっと強化したいと願っています。
この後、何が起こったのか。上海を拠点とする投資ファンドの華人文化産業投資基金(CMC)がマンチェスター・シティーを所有する英シティー・フットボール・グループ(CFG)の株式の13%を取得しました。