―― ターゲットの設定でサッカーW杯と五輪で違う点はあるんですか。

高橋 W杯との1番の違いは、五輪ではファミリー層をターゲットにしているという点です。W杯は、コアなフットボールファンの男性がターゲットです。五輪は、ファミリーやティーンといったソフトな感じのコミュニケーションになります。

―― リオ五輪では「アクティブ・ライフ・スタイル」というテーマを打ち出していましたね。

高橋 「アクティブ・ライフ・スタイル」は、リオ五輪で設定したレガシーの1つでした。もう1つは、小さいサイズのペットボトルの普及がありました。日本では、当たり前にあるサイズの商品ですが、ブラジルにはなかったんです。

 ペットボトルのサイズを小さくすることで、サステナビリティーの観点で無駄がなくなります。加えて、コストが下がってお買い求めいただきやすくなる。商品としても、フィレッシュなものを適温でおいしく飲んでいただけます。リオ五輪に合わせて小さいサイズの商品を初めてブラジルで市場に出しました。聖火リレーを通じて、ブラジル全土にサンプリングを行なったことも大きかった。こうしてレガシーを残していったのです。

(次回に続く)

上野 直彦(うえの・なおひこ)/スポーツジャーナリスト
上野 直彦(うえの・なおひこ)/スポーツジャーナリスト 兵庫県生まれ。早稲田大学スポーツビジネス研究所・招聘研究員。ロンドン在住の時にサッカーのプレミアリーグ化に直面しスポーツビジネスの記事を書く。女子サッカーやJリーグも長期取材している。『Number』『AERA』『ZONE』『VOICE』などで執筆。テレビ・ラジオ番組にも出演。初めてJユースを描いたサッカー漫画『アオアシ』で取材・原案協力。構成や編集に協力した書籍に『全くゼロからのJクラブのつくりかた』(東邦出版)、『ベレーザの35年』(ベレーザ創部35周年記念誌発行委員会)、『国際スポーツ組織で働こう!』(日経BP社)、著書に『なでしこのキセキ川澄奈穂美物語』(小学館)、『なでしこの誓い』(学研教育出版)がある。NewsPicksで「ビジネスはJリーグを救えるか?」を好評連載中。Twitterアカウントは @Nao_Ueno