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沖縄にスポーツビジネスの熱

 沖縄本島の東側に位置する人口12万人ほどの街に、スポーツビジネスの熱が注ぎ入れられつつある。本島の中部、金武湾に面したうるま市だ。12〜13世紀に築城されたと言われる世界遺産の勝連城跡を抱える街である。

 熱源の一つは、サッカー。2015年12月に、サッカー元日本代表の高原直泰氏がうるま市や隣町の金武町などを中心にした新サッカーチーム「沖縄SV(エス・ファウ)*1」を立ち上げた。高原氏は、チームの代表兼監督兼選手と三足のわらじを履く。

 埼玉県や沖縄県での選手のセレクションを経て、2016年2月1日にチームを始動。現在は、16人の選手が練習に汗を流している。まずは沖縄県3部リーグからスタートし、もちろん目指しているのはJリーグ入りである。同年3月24日には、4月に中学生になる未来の大器たちを対象にしたジュニアユースチームのセレクションをうるま市で開催するなど、活動は精力的だ。

高原氏は、シンポジウムで沖縄SVの選手たちを紹介。意気込みを語った。
高原氏は、シンポジウムで沖縄SVの選手たちを紹介。意気込みを語った。
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 2016年2月28日にうるま市役所で開催された「スポーツ産業イノベーションフォーラムinうるま市*2」のトークセッションに登壇した高原氏は、「住民票もうるま市に移して住んでいます」と明かした。まさに沖縄に骨を埋めるつもりで、という意気込みなのだ。

シンポジウムの昼休みには、沖縄SVの選手による子供を対象にしたサッカー教室も。
シンポジウムの昼休みには、沖縄SVの選手による子供を対象にしたサッカー教室も。
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「ドイツでプレーした時、地元の人々が『自分たちの街のクラブ』としてチームを大切にしていると肌で感じた。地域の人々の参加によってみんなで一緒につくり、子供から大人までみんなで楽しめるクラブにしたい」

 試合での勝利が大切であることはもちろんだが、それ以上に地域密着型のクラブとして地域の人々に支えてもらえる「中身が強いクラブを目指す」と、視線の先にある沖縄SVの将来像を話す。

 高原氏だけではなく、日本を代表するアスリートが今、自身の経験を伝えるスポーツビジネスの現場として沖縄に大きな関心を寄せている。

*1 正式名称は「沖縄Sport-Verein(シュポルト・フェァアイン)」。Sport-Vereinは、ドイツ語で「スポーツクラブ」の意。
*2 フォーラムの主催は、内閣府沖縄総合事務局とうるま市・金武町企業立地推進協議会。