2019年のラグビーW杯、2020年の東京五輪など国際スポーツイベントの相次ぐ自国開催を控えて選手の競技力強化が喫緊の課題となるなか、選手が安心して競技生活に取り組めるよう支援する団体が立ち上がった。

 スポーツ庁の委託事業として「スポーツキャリアサポート推進戦略」を受託している日本スポーツ振興センター(JSC)は2017年2月2日、「スポーツキャリアサポートコンソーシアム」を創設した。具体的な活動内容など詳細は未定だが、トップアスリートのキャリアの支援に、スポーツ団体、大学、企業が一体となって取り組む。

スポーツ庁長官の鈴木大地氏
スポーツ庁長官の鈴木大地氏
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 アスリートのキャリア支援については、文部科学省が2000年に策定した「スポーツ振興基本計画」で、アスリートの国際競技力向上施策の1つとして、引退後のセカンドキャリアの支援促進が明記された。そして2012年に策定された「スポーツ基本計画」では、「デュアルキャリア」が政策課題として位置づけられた。デュアルキャリアとは、アスリートの競技人生において競技者としてのスポーツキャリアと、人としてのライフキャリアの両方に取り組むことである。同コンソーシアムは、このデュアルキャリアの形成を支援する。

 JSCが同日に開催したイベント「ATHLETE CAREER TALKS JAPAN 2017」では、コンソーシアムの創設式が開かれ、スポーツ庁長官の鈴木大地氏が登壇した。鈴木氏は、「これまでアスリートのキャリア支援については、国、大学、スポーツ団体などが個別に取り組んでいたため、選手からは『一貫性や継続性がない』などの声が寄せられていた。コンソーシアム創設を機に、キャリア形成の支援のために多くの団体が連携する」と話した。

 コンソーシアム創設に関する発起メンバーとして、JSCのほか、日本体育協会、日本オリンピック委員会、日本障害者スポーツ協会、全国大学体育連合、日本トップリーグ連携機構、全日本スキー連盟、日本体操協会、全日本柔道連盟、慶応義塾大学大学院、ウェルネス・システム研究所、フィーチャー・デザイン・ラボなどが名を連ねている。

 鈴木氏は、デュアルキャリアの重要性が増している背景として、選手寿命が延びている点を挙げる。「私が選手だった時代は20代前半で引退するケースが多かったので、若いときに次のキャリアを考える必要性に迫られた。しかし、現在のように引退が30歳過ぎになると、そこから考えるようでは遅過ぎる。選手が安心して競技に打ち込めるよう、コンソーシアムを通じて支援したい」(同氏)。

「スポーツキャリアサポートコンソーシアム」創設式の様子。鈴木大地氏のほか、創設メンバーの団体代表が登壇した
「スポーツキャリアサポートコンソーシアム」創設式の様子。鈴木大地氏のほか、創設メンバーの団体代表が登壇した
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