日本文化も学ぶスポーツマネジメント大学院
―― TIASが開校して1年半になろうとしています。現状と感想を聞かせてください。
真田 これまでに 第1期生と第2期生の学生を受け入れており、いずれも70人以上の応募がありました。アジアからの応募者が最も多いのですが、欧州や北中南米、アフリカなど世界各国から応募があります。「世界で日本への関心が高まっているんだな」と実感しているところです。
ただ、残念ながら今のところ、日本からの応募者は少ない。日本人にも、外国から来た留学生と一緒に世界のスポーツマネジメントの潮流をぜひ学んでほしいと思っています。TIASは欧米のスポーツマネジメント理論だけではなく、日本が培ってきた様々なスポーツ関連の学問や日本文化などが学べるという他のスポーツマネジメント大学院にはない大きな特徴を持っています。
―― 具体的には、どういったカリキュラムや取り組みでしょうか。
清水 TIASのカリキュラムは、5つのモジュール(領域)で構成されています。「オリンピック・パラリンピック教育」「スポーツマネジメント」「スポーツ医科学」「開発と平和構築のためのスポーツ」「ティーチング、コーチングと日本文化」です。IOCや、国際パラリンピック委員会(IPC)との連携もあり、国内外の第一人者がオリンピック・パラリンピックムーブメントをはじめ、日本文化や異文化コミュニケーションなどについて英語で講義し、その内容について学生と議論しています。
学生による課外活動も大きな特徴の1つです。例えば、日本におけるオリンピック・パラリンピックの歴史や日本文化を理解するスタディーツアーを取り入れています。第1期生は2016年3月に長野県、同年6月には岩手県陸前高田市に行きました。
陸前高田市のツアーでは東日本大震災の被災地の今について学んだほか、学生による「オリンピック価値教育プログラム」(OVEP、The Olympic Values Education Programme)を実施しました。学生が主体となって同市の高田高校の体育授業においてOVEPを英語で行いました。いろいろなゲームを作るなど、単に体を動かすだけでなく、何を学び、何を得たかなどをその後に議論する実践を踏まえた取り組みです。
海外から来た学生と日本人学生が一緒になって自分たちでプログラムを作成し、努力する尊さやチームワークを日本の高校生たちと交流しながら実感しました。