1人ひとりにフィットするものづくり

 2014年に開始されたMIAMIプロジェクトでは、3Dプリンティング/Additive Manufacturing(AM)を核としてものづくり革新の創出を目指している。3Dプリンティングならではのものづくりとして注目しているのが、「1人ひとりにフィットするものづくり」だ。その実践として、「機能的で美しいスポーツ用義足の開発」をマイルストーンプロジェクトとして位置付けている。

 展示では出来上がったばかりの陸上競技用義足「Rami」を展示した(図1)。粉末材料をレーザーで溶融・凝固させる粉末床溶融結合方式の3Dプリンターを使い、材料としてはポリアミド(PA)を採用した。十分な強度を保ちつつ軽量化を実現するため、内側のソケット部の周囲を複雑な網目状の部分で覆うような、3Dプリンターならではの複雑な構造を持つ。現状では強度面での改良の余地があるといい、MIAMIプロジェクトとしては選手が装着して走れるレベルまで引き上げるのを目標としている。材料や造形条件、構造などを多面的に検討していく。

図1 3Dプリンターで造形した陸上競技用義足「Rami」。装着部はポリアミド(PA)を3Dプリンターで造形し、接地するバネの部分は炭素繊維強化樹脂(CFRP)で成形した。装着試験は実施済みで、今後、走行試験を実施できるように強度を高めていく。なお、手前側にあるのは試作した構成部品で、採用されなかったものも含まれている。
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