立命館大学は、心電図を測定できるスマートウエアと指向性超音波スピーカーを組み合わせ、生体状況に合った音楽リズムによって的確な運動強度へと誘導するシステムを公開した。

実際の心拍を測定し、適したリズムのビート音楽を被験者だけに聞こえるように流して目標の心拍にするデモの様子。奥のディスプレイに現在の心拍と目標が表示されている。胸の白い機器がトランスミッター。立命館大学が中心となって開発したもので、現在の大きさは約10cm×4cm×1.5cm、重量は約80g。パソコンなどとBLE(Bluetooth Low Energy)で通信する。現在の2次電池寿命は約24時間。日中時に使用し毎晩充電するというような使い方であれば、電池を小型化し、全体の大きさを1/2程度に小型化できるとみる。
実際の心拍を測定し、適したリズムのビート音楽を被験者だけに聞こえるように流して目標の心拍にするデモの様子。奥のディスプレイに現在の心拍と目標が表示されている。胸の白い機器がトランスミッター。立命館大学が中心となって開発したもので、現在の大きさは約10cm×4cm×1.5cm、重量は約80g。パソコンなどとBLE(Bluetooth Low Energy)で通信する。現在の2次電池寿命は約24時間。日中時に使用し毎晩充電するというような使い方であれば、電池を小型化し、全体の大きさを1/2程度に小型化できるとみる。
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 スマートウエアとしては、東洋紡の生体情報計測ウエア向け機能性素材「COCOMI(心美)」を利用する(関連記事)。指向性超音波スピーカーは、立命館大学 情報理工学部 メディア情報学科 教授の西浦敬信氏が開発した。

 公開されたデモでは、被験者がCOCOMIで配線を作り込んだ密着性の高い、いわゆるコンプレッションタイプの肌着を着用し、心拍を測定。そのデータをパソコンで取り込み、目標とする心拍に導くように調節したリズムのビート音楽がスピーカーから流れる様子が披露された。

 スピーカーの音は回り込みしにくくほぼ直進し、中心から約30°程度にしか広がらないため、方向が違えば同室にいてもまったく聞こえない。スピーカーの前方に立つと、運動開始時は心拍を上げるために早いリズムのビート音楽が流れ、心拍が上がり過ぎると、下げるためにビート音楽が徐々に遅いリズムに変化していることが分かった。

 COCOMIについては、2015年8月に発表した時点からは洗濯耐久性を向上させており、ネットに入れて洗濯機で洗った場合、100回までは導電性に劣化がないことを確認しているという。価格は明らかにしていないが、競合他社品より安価にすることを狙う。

 また、今後は歪センサーを追加搭載することで、呼吸データから睡眠状態の把握や呼吸法トレーニングに生かしたり、関節角度からスポーツにおけるフォーム矯正に生かしたり、といった機能を実現することも計画している。

 このシステムは、文部科学省の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」として採択され、同大学が中心となって進める「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」プロジェクトの事例の1つ。COI STREAMでは10年後を想定した未来像から必要な技術を絞り込み、社会実装・製品化を目指すことが義務付けられている。