コンピューターゲームをプレーする腕を競う「eスポーツ」。ゲームのプロ選手が多額の賞金を掛けて戦い、その様子をイベントや動画配信で観戦する。海外では賞金総額が30億円近い大会も開かれるほど人気のある新しいエンタテインメントが国内でもいよいよ隆盛の兆しを見せ始めた。追い風の一つは前回見たとおりスマートフォン(スマホ)ゲームの普及である。もう一つの追い風が今回解説するeスポーツの五輪競技化に向けた動きだ。この動きをeスポーツの普及にどうつなげるか。国内に現在3つあるeスポーツ関連団体それぞれに聞いた。

アジア競技会にeスポーツ日本代表を送りたい

 「2022年のアジア競技会に日本選手団を送り込みたい。そのために競技団体の整備が必要」と力説するのは日本eスポーツ協会(JeSPA)の筧誠一郎事務局長だ。

日本eスポーツ協会の筧誠一郎事務局長
日本eスポーツ協会の筧誠一郎事務局長
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 JeSPAは国内で初めて設立されたeスポーツの関係団体で2015年に一般社団法人になった。年1回の日本eスポーツ選手権大会や年2回の日本eスポーツ学生選手権などを主催するほか、国内各地に11の支部を設置。「2022年までには全国をカバーすべく尽力している」(筧氏)と話す。目標はeスポーツ団体を日本オリンピック委員会(JOC)の加盟団体にすることだ。

 アジアオリンピック評議会(OCA)は2017年4月17日、2022年に中国・杭州で開かれるアジア競技大会(第19回大会)で、eスポーツを公式プログラムに加えると発表した。これに先立つ2018年にインドネシア・ジャカルタで開かれる第18回大会で、eスポーツをデモンストレーション競技にすることも同時に明らかにした。