KDDI総合研究所は、映像の視聴アングルをユーザーが自由に切り替えられる「8Kフリーナビゲーションシステム」を「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」(2017年5月24日~26日、東京ビッグサイト)に参考出展した。展示ブースでは、サッカーの試合を東西南北4台の8Kビデオカメラで撮影し、上からの映像や選手たちの目線など、再生中に好きなアングルに切り替える様子をデモンストレーションした。

KDDI総合研究所による紹介パネル
KDDI総合研究所による紹介パネル
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ハイライトやリプレーの表示や教育用途に

 8Kフリーナビゲーションシステムは、8K対応のMV-HEVCエンコーダーによりマルチアングル映像を高効率圧縮して実現する。芝や客席部分はCGだが、選手部分は4方向の画像を合成し、時間と位置を高い精度で推定しながらピッチ上に再現する。

 デモンストレーションではアングルの切り替えはスムーズだったものの、画像の粗さが気になった。説明員によると、画像が粗いのは画像4枚だけを合成しているため。カメラの台数を増やして多方向から撮影した画像を合成すれば、精細な映像を再現できるという。ただし、画像が増えれば処理に時間がかかるようになるため、「用途とのバランスを考慮する必要がある」(説明員)。

「8Kフリーナビゲーションシステム」デモの様子
「8Kフリーナビゲーションシステム」デモの様子
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 今後、第5世代移動通信方式(5G)による高速通信で、スマートフォンなどへのコンテンツ配信に向けた開発を進める。スポーツのハイライトシーンや、リプレーシーンへの適用を想定する。商用化は未定だが、エンタメ分野だけでなく、子供のサッカーチームの試合を撮影して、ポジションの確認や戦術の練習に役立てるなど、教育面での活用にも期待を寄せている。

アングルによっては画質の粗さが気になる。選手部分のみ、Jリーグの試合を撮影した実際の映像を合成している。
アングルによっては画質の粗さが気になる。選手部分のみ、Jリーグの試合を撮影した実際の映像を合成している。
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