パナソニックは、動画に映る人の心拍数を高精度に推定する「非接触バイタルセンシング」技術を開発した。この技術を使って競技中のスポーツ選手の映像から心拍数を推定することで、選手の緊張感やストレス状態を可視化できるという。スポーツ番組の臨場感の演出や、スポーツ選手のコンディション管理などで活用を見込む。

パナソニックが開発した「非接触バイタルセンシング」技術の画面
パナソニックが開発した「非接触バイタルセンシング」技術の画面
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肌の光反射率の変化を利用

 非接触バイタルセンシングは、心拍数の測定に、肌の光反射率の変化を利用している。反射率の変化を引き起こすのは血液である。血液は光を吸収する性質を持つが、その吸収量は一定ではなく、脈波による血管の収縮に連動して変化する。これにより、肌の光反射率の変化から脈波を推定でき、そこから心拍数を算出する。

 デモでは、測定に人の顔部分の肌を利用していた。「顔だけでなく、皮膚が映っていれば、どこでもよい。顔を利用したのは、映像に映る人の部位の中で肌が一番露出しているため」(パナソニックの説明員)。

 使用するカメラは専用品ではなく、一般的なWebカメラ程度の性能で十分であるという。「医療機器を利用した計測結果と比較しても遜色ない精度を実現した」(同説明員)。

 今後は、2018年の商用化を目標に開発を進める。展示したスポーツでの活用の他に、コールセンターの従業員向けのストレスチェックや、運転者の居眠り防止機能などへの活用を検討しているという。