古谷 賢一=ジェムコ日本経営、本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)
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古谷 賢一=ジェムコ日本経営、本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)
 工場では、生産会議や品質会議、営業連絡会議など多くの会議が開催されている。工場長以下、管理者や監督者、工場のスタッフが、毎月、会議と会議の準備にかなりの時間と労力をかけている。それ故に、組織の中では「会議が意思決定に重要」と考える人と、「会議は時間のムダ」と不要論を叫ぶ人とがいる。本コラムで会議の是非を論じるつもりはない。せっかく開催した会議が仕事の質の向上やアウトプットの向上につながらない、“残念な会議”にならないためにはどうすればよいかを考えてみたい。

強い工場づくりのポイント

 会議の目的とは何か。いろいろな回答があるだろう。筆者は、会議の目的は「組織の中に散在(偏在)する情報を集約し、関係者が正しい情報を基に判断して意思決定を行うこと」と考える。すると“残念な会議”とは、分析や判断に必要な情報が集まっておらず、集まった情報に対する議論や判断ができない。そしてそれ故に、その場で今後の行動に対する意思決定がされない会議、ということになる。

 会議とは意思決定の場なので、例えば生産会議であれば「諸般の条件を把握した上で、来月の生産計画案を検討し、対策が必要な課題に対して誰が何をするのかを決めて、(その課題解決を前提条件に)、最後は生産計画案を承認する」のである。

 ところが、さまざまな理由によって現実には意思決定ができず、単なる話し合いの場になってしまうことが珍しくはない。裏を返せば強い工場とは、会議においても物事を決めることができる工場だ