古谷 賢一=ジェムコ日本経営、本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)
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古谷 賢一=ジェムコ日本経営、本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)
 経営に貢献する工場の姿として、「物が流れる工場」というキーワードを本コラムでは挙げている。物の流れを良くするためには、何をしなければならないか。ものづくりのプロセスだけではなく、サプライチェーン全体でムダやロスをなくす必要がある。

 これは損益計算書の利益を最大化することだ。調達した資金を、在庫や使わない固定資産などにせず、いかに有効に活用するかを考えなければならない。これは貸借対照表の資金効率を最大化することになる。購入した材料を素早く生産に使い、素早く販売する。そして素早く対価を回収する。これはキャッシュフロー計算書のキャッシュフローを最大化することを意味する。

 以上のようなことを実現するために、実際の工場では、まず何をすればよいのだろうか。

強い工場づくりのポイント

 強い工場とは、物(広い意味では情報も含む)が滞ることなく常に動いていることだ。筆者は工場を「川の流れ」に例えることが多い。流れが阻害されない場所は、水がスムーズに流れるし、汚れがたまることもない。しかし、流れを阻害するような障害物やよどみがあると、その場所は流れが悪くなる。すると、水が汚れたり、ゴミがたまったりする。工場も川と同じだ。従って、動いていない物(原材料などの資材、仕掛品、製品)、動いていない設備や治工具を徹底してなくすことが重要だ。

 もう1つ重要なことは、物が流れているか否か、流れがよどんでいないか否かを、徹底して「見える化」することだ。そもそも、流れが見えなければ、流れを良くする取り組みなどできないからである。

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