古谷 賢一=ジェムコ日本経営、本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)
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古谷 賢一=ジェムコ日本経営、本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)
 前回、「強い工場」の定義の1つとして「経営に貢献する工場」というものを紹介した。繰り返すと、工場にとっては、経営に貢献すること(すなわち利益への貢献)と同時に、キャッシュフローへの貢献も重要な責務だ。そのためには、ものづくりの「あるべき姿」を追求しなければならない。まず、「原材料投入から製品出荷まで、生産ラインの間(工程間)に『たまり(=流れていない在庫)』がない工場であること」。加えて、その状態において「安全で100%良品の品質が確保されていること」。そして、「最大効率で生産されていること」──である。

 ここで後の2つは論を俟(ま)たないだろう。だが、最初の「原材料投入から製品出荷まで、生産ラインの間(工程間)に『たまり』がない」という言葉には、疑問を持ったり抵抗を覚えたりする人が多いかもしれない。

強い工場づくりのポイント

 実はこうした「あるべき姿」を提示すると、「(難しいが)その通りだ」という反応か、「わが社には当てはまらない」という反応かの、どちらか両極端なものになることが多い。主に業種や業容によって反応に大きな違いが出るようだ。

 この問題をいかに乗り越えて、経営に貢献する工場をつくるか。ポイントとなるのは、「たまり」をどう考えるかである。