グラフィッククリエーターの森川幸人です。最近、AI(Artificial Intelligence、人工知能)技術への関心がとても高まっていますが、この技術はコンシュマー領域で使うには、使い道が難しい技術でもあります(関連記事:森川幸人~AIでスマホゲームは「感性」を獲得する?)。そこでこの連載では本格的なAIを、ゲーム、特にスマートフォン(スマホ)のゲームに適用することを考えてみたいと思います。リソースが限られるゲームへのAI適用は、幅広い用途へのAI応用のヒントになると考えるからです。

AIをゲームにちゃんと使うなら用途は3種類

 「ゲームにAI」と一口で言っても、使われる場所と使われ方はいろいろです。「なんちゃって」ではない、本格的なAI技術をゲームに適用するなら、ざっくり言うと、以下の3つがあり得るでしょう。

  • 1.ユーザーの動向判断や目標達成度の確認
  • 2.ゲーム世界のパラメーター作り
  • 3.ゲーム中に学習する

AIをきちんとゲームに適用するには三つの方向性がある
AIをきちんとゲームに適用するには三つの方向性がある
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[1]ユーザーの動向判断や目標達成度の確認

 これはゲームの開発中もしくはリリース後のゲームの各種「成績」を外から判断する際にAIを使うというものです。

 これはいわゆるデータマイニング技術としてのAIの使い道です。ゲーム固有の利用方法とは言えませんが、ソーシャルゲーム(ソシャゲ)のように、ユーザーの好みやイベントがうまくいった、いかなかった、どういうイベントが受けがいいかなどの解析や設計が、商売上大変大きな意味を持つゲーム――というか「それがほぼ全て」のゲームでは、今後、AIを使ったデータマイニングの活用は必須な気がします。

 現状は経験豊かな「職人」によってソシャゲの設計と運営はなされていますが、どんどんゲームが巨大化、複雑化、さらにイベントの消費速度がアップしていく今後を考えると、人間(だけで)やるのはだんだんと厳しくなると感じます。

 また、KPI(重要業績評価指標 Key Performance Indicators)の設定やその管理にも今後、AIが活躍するでしょう(関連記事:手塚武~ソシャゲはなぜ「KPI」を気にするのか)。より精度の高いKPIを得るには、人間の勘や経験に頼るよりAIに学習させ、判断させた方がいいでょう。