初めまして!あらたにこの場に参戦させていただきますグラフィッククリエーターの森川幸人です。この連載では、ゲーム、特にスマートフォン(スマホ)のゲームに、AI(Artificial Intelligence、人工知能)といった新しい技術がどう適用されていくのかなどについて考えていきたいと思います。

 ご存じの方も多いと思いますが、現在は第三次AIブームと言われています。私は、2012年から始まった「AI第三の波」がゲームにどんな影響をもたらすのか、とても興味があります。

AIには「御三家」にあたる三つの主流の手法がある
AIには「御三家」にあたる三つの主流の手法がある
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 新しいAIの技術を組み込んだゲームは既に数多く登場しています。実は私も、AIを使ったゲームを作っていたりします。果たして、AIとゲームは相性がいいんでしょうか?AIの進歩によりなにか新しいゲームの楽しさやジャンルを生み出していけるのでしょうか?

そもそも、AIってなんなの?

 そのためにまず、最新のAIについて概略を整理しておく必要があるでしょう。

 最近ではほぼ毎日のように新聞やテレビでも「AI」や「人工知能」という言葉を目にするようになってきました。一昔前の「ファジー」や「f分の1ノイズ」「ゆらぎ」のようです。そのきっかけになっているのは「ディープラーニング(深層学習)」という技術の進歩なのは間違いありません。

 ただ、その知名度が高まっているのとは裏腹に、「AI」や「人工知能」という言葉ほど、その「正体」が知られてない技術もそうはないと思います。そもそも、「AI」とはなんでしょう。実は、これがないとAIとは言えないという規定はありません。if~then文が2つ3つ書かれていれば、単なるプログラムに見えても「AIだ!」と言われたら否定できません。実際、古典的な「ゲームAI」はそんな感じでした(関連記事:吉岡直人~ゲームはどうやって「偶然性」を演出するか)。以前のAIブームの時には、ワープロも電卓もAIだと言われていました。そもそも「知能」の定義そのものが、なんだか漠然としているわけで、それがAIという技術のシルエットをさらにぼんやりとさせています。

if文が3つあればAIと言い張ってよい?
if文が3つあればAIと言い張ってよい?
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 とはいえ、現在のAIには、代表的な「AI御三家」とも言える手法があります。